英語の発音の話 PART6

007

前のお話で、イギリス英語とアメリカ英語のことに少し触れました。
実は、こういう言い方自体が、論理矛盾を孕んだ言い方ですが、日本では、当たり前のように使われています。

English とは、Japanese と Japan の関係のように、England の言語という意味です。
ちょっと脱線しますが、英国の正式名称は、
The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
で、England があるのが、前者のBritain 島。この島には、Scotland と Wales という 「国」 もあり、今なお、それぞれの言語を有しています。英語 English は この イギリスの中のブリテン島の England という 「国」 の言葉 というのが、その語の真の意味で、もともとはかなりローカルな意味をもっていたわけです。

ですから、イギリス英語とか、British English という言葉自体が、おかしく聞こえると思います。英国人には。
一方で、このような名称が生まれたということは、それだけ、英語自体が、国際化したということの現われで、そのことで、イギリスは国としても国民としても、計り知れないメリットを得ているのです。

表題の007、かの有名な、英国諜報部員の映画のことですが、日本語で ゼロゼロセブン なんていいます。
こんな言い方を、本場イギリスですると、びっくりされますよ。「なに言っているの」ってな感じで。
ちょっと、白い目で見られるかもしれません。
イギリス英語では、数字はゼロとは言いません。オウです。そして、オウが二つつながる時は、オウオウ とはいいません。ダブルオウです。従って、007は ダブルオウセブン になります。字幕の007の映画を見たことがある方は、お気づきだと思います。かの映画の中で、007は、例外なくダブルオウセブンと呼ばれています。

この例のごとく、アメリカ英語とイギリス英語は、かなり、違っています。
発音、ボキャブラリー、言い回し などなどです。全く違った言語とはいいませんが、イギリス英語とアメリカ英語の相違点を説明した本が売られている位ですから、一般的日本人が想像する以上に、相違点は沢山あります。
実は、「第6話 ああネイテイブ様」で、私が、誤解したのは、かの教師様の英語にこの双方の癖があまりなかったことが一つの原因でした。
さらに言うと、当然のことながら、イギリス英語にもアメリカ英語にもいわゆる方言があります。

こういう話を続けていくと、際限がなくなりますので、今回は、両英語で何が違うかご紹介するのは、やめにしますが、007の話にもどり、次のことだけ、ご注意願います。
数字0 オウと 4 フォーの 混同です。
最初の1ヶ月ぐらい、何回かありましたでしょうか。電話番号を説明する時に聞き返されたことが。
オウは二重母音、フォーのオーは短母音で伸ばす印のついているもので、全く違う母音です。
日本語でボート boat といいますが、これも、英語では、ボウト、 オウ の二重母音です。

専門的な話になりますが、英語は、子音の言語と言われています。アクセント記号の位置で誤解しがちですが、一般的に子音を発音する時に、息を大きく吐くように発音します。また、子音の連続する音がかなりあります。
一方、日本語は、私の理解では、相対的な意味で母音の言語です。子音をあえて、強調しませんし、かならず、子音+母音のコンビで言葉の音が成り立っています。

オウの方は、あまり誤解されることがないのですが、フォーの発音の際に、F の音を甘く発音し、オーの部分を強く言うと、必ず、聞き返されます。「0なの4なのどっち?」 って。
そういときは、不本意ながら、こういわざるを得ません。
「私が、言ったのは、1234の フォーで オウ、即ち ゼロではありません。」
やっぱり「ゼロ」って言ってしまうこともあるんですよね。イギリスでも。