英語の発音の話 PART3

ロンドン

昨日、ロンドンで大変なことが、起きてしまいました。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、負傷された方の一刻も早い回復をお祈りします。
2012年にロンドンでオリンピックが開催されることが決まったと報道され、それを記念して準備していましたが、本当に残念です。

ここしばらくは、このロンドンという言葉、英語でも、日本語でもよく聞くことになるでしょう。こういう形で聞くことになるのは、返す返すも残念ですが、注意深く聞いてみてください。

実は、London、ロンドンの発音、ロではありません。ラです。日本語的に書くと。

辞書で発音記号を確認してみてください。Lの後は三角形の底辺が欠けた形のアの発音記号です。実は、このアとオは、発音学的には、紙一重の音なのです。また、詳しく述べる機会があるかもしれませんが、ともに、口の奥の方で出す音ですが、口の後ろの方の空間の作り方の違いでアとオに分けられます。

これに、気づいたのは、滞在後3ヶ月位してからでしょうか。いろいろな方との話の中で、「今、ロンドンで働いている」とか、職名が「ロンドン事務所長」ですから、「ロンドン」と何回も言います。全員が全員、必ずしも納得顔ではありません。勿論通じるのですよ。でも、スパッと理解しているという顔ではないのです。

私は、最初は、Lの発音がおかしいのかと思いました。日本人のLRコンプレックスの表れです。ある日、一応確認と思って辞書を引きました。声も出ませんでした。自らの不明を恥じました。日本語の表記が ロ であることも原因ですが、それ以上に英語でもLONDONと2文字目が O であることで、すっかり、先入観を持っていました。

「Son」「 息子」 もそうです。 O のスペルで ア という発音です。スペルと発音の不一致で一番有名なものは、「Sword」、「剣」です。「Swordfish」は、「かじき」です。これは、「スウオード」とは読みません「ソード」です。wのスペルを全く無視するのです。

ロンドンの話に戻ります。このLondonの発音は、日本語の「行灯」の前に子音Lを付けた感じです。日本語のアンドンのアは、皆さん口を大きく開かないアで発音しますね。それが、英語の山形のア(と私は名付けてます。あの発音記号)に近いのです。従って、L+「行灯」で、ネイテイブの「ロンドン」じゃなかった「ランドン」になります。

実は、その後、いろいろな日本の方のロンドンの発音を注意深く聞いていますけど、このことを意識されて、発音している人は、殆どお見受けいたしません。親しくなった方には、「ロンドンって実はランドンなんですけど、知ってました?」と耳打ちするのですが、皆さん「えーー!」という感じです。ある英語がお出来になる方も「そう言われれば、オ の音ではないですね。そうか。知らなかった。」というお返事でしたので、殆どの日本人、もしかしたら、英語を教える立場の人も含めて、このことはあまり認識されていないかもしれません。

教訓です。どんな簡単な言葉でも、常に辞書で発音記号を確認すべし。

この後ぐらいからでしょうか。私はベルトに小さなバックを取り付けて、電子手帳をそこに入れ、いつでも、持ち歩くようにしました。街角で分からない単語を見つけたら、チェックして、語彙を増やす目的もありましたが、むしろ、発音記号の確認のためです。ロンドンの過ちは二度としないぞと。

これ、結構、不格好なのですね。スーツのベルトにカメラのケースみたいなホルダーをいつもぶら下げているのですから。私のその格好見て、奇異に思った人は、何人かいたようです。 特に、お相手が英人の場合、私が話の途中でやおら、電子辞書取り出して、見始めるとびっくりします。態度にびっくりするのではなく、その機械が辞書であることにビックリするのです。当時は、電子辞書も日本でようやくポピュラーになりつつあるような時代でしたから、英人には殆どなじみがなかったようです。もっとも、私もビジネスのミーテイングの時には、辞書は持ち出しませんでしたけど。

この、西部のガンマンよろしく、辞書ぶら下げて歩くのは、格好の問題は別として、効果抜群でした。
これが、癖になり、実は帰国後も、しばらく、辞書をベルトにぶら下げていました。さすがに、数週間でやめましたが。オブセション(obsession)というべきか、生活習慣というべきか、いずれにしても、恐ろしいものです。