今回は、ちょっと観点を変えて、イギリスのスキー事情の話です。

前に第3話の「富士山」の話しで触れたように、イギリス、イングランドには山らしい山がありません。冬そんなに寒くならないし、雪もめったに降りません。
従って、いわゆる「スキー場」はありません、と、言いたいのですが、あるんです。
その名は「Dry Ski Slope」、
基本的には、プラスチックの板なんですが、表面を柔らかくギザギザにして、いってみれば、人工芝のちょっと固めのもののようなもので、スロープを作っているんです。
結構あるんです。この手の「スキー場」が。何箇所か行きましたが、お気に入りは下の写真の「Wycombe Summit」というところです。イングランドで一番の長さの300メートルのスロープを持っています。下の写真はその丁度中腹、中頃から撮られた写真ですね。手前のはリフトではありません。ロープトウです。コースもちゃんと二股に分かれていますね。凝った作りです。

当然、雪とは勝手が違います。
1、エッジが効きません。基本的にずれます。どんなに頑張ってもずり落ちていく感じです。
2、音がうるさいです。「ザー」、「ザー」とスキーとプラスチックの細かい突起とが、擦れる音です。その代わり、衝突事故は起きないでしょう。人が近くに来ると直ぐわかります。えらい音がしますから。
3、転ぶと痛いです。下は、基本的に地面と同じです。
4、特に、この手前のロープトウで転ぶと悲惨です。一番手前に細い白い通路が見えますね。その上にスキーで立って、上がっていくんですね。この通路から逸脱するとどういうことになるか。通路周辺にはプラスチックはありません。芝かやや黒く見えているゴムです。
(下の写真は、Wycombe SummitのHPからのコピーです。)








滑りに来る人の腕はどうでしょう。結構うまいんです。皆さん。なかには、雰囲気からして、英国ナショナルチームといった感じの人もいました。でも、びっくりするほど、うまくはなかったように記憶しています。

次は、安全対策です。この写真に映っていませんが、スロープの下には、大きなクッション、マットレスのようなものが、壁状に置いてあります。そう言えば、小さな子供はヘルメットをしていたような気がします。

このような場所で、アジア系の人、日本人に会ったことがありません。多分、私のようなスキーきちがいは、あまり、英国に赴任しないのでしょう。アルプスにスキーに行く人はいても、イギリスの雪のないスキー場にまで来ませんわね。普通は。多分、存在自体も皆さん知らないのではないかと思います。少なくとも日本語のメデイアで見たことありません。私は、練習場を求めて、ウエブで、必死になってここを探したんですから。

このように、どこのスキー場でもアジア系は我々しかいないので、非常に奇異な目で見られます。「なんだなんだ」という感じです。日本のスキー場でも、我々からみたらとてもスキーをやりそうにもない、南アジア系やアフリカ系の方を見かけたら、多分、我々もそんな態度をとるかも知れません。そもそも、英国人でもスキーをする人は圧倒的な少数派でしょう。する人は相当裕福な人です。スキー用品の安売り屋など見たことがありません。大衆スポーツではないのです。従って、一層、奇異な目で見られたのだと思います。

実は、もっと奇異な目でみられたスキー場が、ありました。それは、フィンランドです。詳細は、また別の機会にお話しますが、動物でもみるような目で見られました。やっぱり、アジアは遠いんだな、と、その時ほど、感じさせられたことはありませんでした。

次回では、いよいよ、大陸の本当のスキー場に滑りに行きます。
そうそう、一応、英国のスキー場に興味ある方のために、リンクを張っておきます。「Wycombe Summit」

英国スキー事情