2、英語OSと日本語OSは一台のPCに同居できないのか。(平成13年)

帰国してしばらくして、英語OSのPCは開店休業となります。日本語OSのPCでも、英語が処理できるので、英語のみしか扱えないPCは誰も使わなくなりました。しかし、折角、PCが一台あるのに、活用しないのはもったいない。なんとかならないか。英語OSを生かしたまま、日本語OSは入らないのか。

私が購入したのは、パッカードベルというNEC系のブランド(ヒューレッドパッカードとは全く異なります。日本にはないブランドのようです。)で幸いその会社の日本語ヘルパーとメールで連絡がつきました。
答えは、2ヶ国語OSを入れられるようにするソフトがあるとのこと。早速、買ってきて、導入してみます。でも、うまくいきません。動作が不安定なのです。事実上役に立ちません。

思案にくれていた状態のある日、秋葉原を歩いていたら、ある店の店頭に並んでいた商品に目が止まりました。それはPC内部の2つのハードデイスクを結ぶケーブルです。パッケージにこう書いてあります。「2種類のOS導入可。WINMEとWINXP,英語OSと日本語OSなど」説明を解釈するとこうなります。「スイッチ一つで、2つのハードデイスクのマスターとスレーブを切り替えられます。」

「マスター」と「スレーブ」なんて言葉そこで初めて知りました。
以下のことは、後で述べるH海上保安官から説明を受けてわかったことですが、こういうことです。2つ以上のハードデイスクを備えているPCの場合は、どちらが、先にブート=起動するかを決める必要があります。(ちなみに普通のPCにはひとつしかデイスクは装備されていません。CデイスクとDデイスクに分かれているように「マイコンピューター」で見えていても、それは、物理的に一つのデイスクの中で仮想的に(ソフトにより)デイスクを分けているにすぎないのです。)先に起動する方をマスターと呼んでいるんです。もう片方のスレーブはこの場合、データの蓄積場所の意味しかなくなります。ウインドウズのプログラムは起動プログラムを含め、すべてマスターに書き込まれているわけです。

このケーブルを、説明のとおり配線すると、例えば、スイッチAのときは、マスターがデイスク1、スレーブがデイスク2、スイッチBのときは、その逆といった、ことが可能になるのです。つまり、デイスク1に英語のOS、デイスク2に日本語のOSをインストールしておけば、Aの時は、英語、Bの時は日本語のOSがそれぞれ起動して、使えることになります。
これは、ハード的に、デイスクを明確に分けてしまう訳ですから、先ほどの失敗例のように、ひとつのデイスクの中で、ソフト上で行おうとしたこととは異なり、動作が不安定になりそうもありません。

でも、デスクトップPCの内部なんて開けたことありません。開け方も分かりません。ハードデイスクがどれだかもわかりません。ある意味、とても恐ろしいことです。それでも何とかケースを開けました。そこで、デジカメで内部の写真をとり、ハードデイスクらしきものを取り外し、当時、私の課で働いていた、通信科のH海上保安官にそれを見せて相談しました
立て板に水とはこのことです。写真を示し、メモリがこれ、CPUがこれ、電源ケーブルがこれ、とひととおりの説明を受けました。そこで、自信を持てた私は、改造にとりかかります。もう一つハードデイスクを買ってきて、PCに取り付け、配線します。OSのインストールも本を買ってきて、フロッピーデイスクを作るところから始まり、全てのプロセスを終えることができました。

結果は、○。スイッチを切り替えるとそれぞれのOSが快調に動きます。一方のOSが動いている最中に、他方のOSに切り替えることはできませんが、十分満足でした。

それから後、私はパソコンの改造や自作に目覚め始めます。2ヶ国語OSのPCを作るなど、後から考えれば、かなりの応用問題です。私はまず、それをクリアしたんですから、普通のPCを作ることなど苦にならなくなったのです。足らないのは部品の知識だけ。自作PCの本は沢山あります。それらを数冊買ってきて、秋葉原にいき、部品を買ってと、その後、数台作ったでしょうか。結果、今、我が家には、英国赴任時に購入したノート2台を含め、ノート、デスク計9台PCがあります。半分以上はスペックがXPに対応できないので、事実上稼動していませんが。

さて、くだんの2ヶ国語PCは今どうなっているでしょう。ノスタルジーから英語OSを何とか残すべく、頑張った訳ですが、結果は、殆ど、英語の部分は使わずじまいでした。目的と手段を混合する最もしてはいけないことを結果的に犯してしまった訳です。そのPCは、今、実家の母親の教育用になっています。ハードデイスクをひとつ取り外し、勿論、日本語OSの状態で。

以上、ハードの話でした。この場を借りて、H海上保安官には御礼申し上げます。次回はソフトにいかに目覚めていくかをお話します。






update 29/Jun/05

パソコンの話(ハード編 Part2)