3、帰国直後ーパワーポイントの威力を知る。(平成13年)

まず、パワーポイントのお話から。

帰国して、海上保安庁に勤め出した直後です。部内の関係の方々が持ち込む色々な資料が、大変バリエーションに富んでいるのです。グラフあり、表あり、巡視船の写真やら、海上保安官のイラストやら、それらが、1枚の紙に収まっている。説明資料としては、なかなかよくできています。

「これどうやって作ったのですか。」
「ああ。パワーポイントで」
事も無げにおっしゃります。以前から、パワーポイントというソフトは知っていました。イギリスでも、セミナーなどの際にPCから線つなげて、映像機でよく写していましたっけ。
「でも、あれはスライド作るソフトでしょう。」
「こういう風に印刷もできるのです。図も表もグラフも簡単に1枚の紙に載せられるのです。」
「・・・・」
そんな使い方あること、知りませんでした。イギリスにいると、ある意味で鎖国状態です。接触できる日本人は限られます。

余談ですが、帰国して一番疲れたことは会議です。イギリスでは、10人位以上の日本人と日本語で会議することは、ほとんど皆無でした。帰国して、数週間の間だけでしたが、日本語に疲れました。特に聞くことに。

話を戻します。日本人との付き合いが限られるため、このようなビジネススキルについては、詳しい人がいないと知る由がないのです。日本の本も現地では値段が高いのです。約2,5倍。よほど必要でないと本は買いませんでした。また、JNTO事務所では私がいる当時はマックをOSに使っていましたので、パワーポイントについては、触れる機会もありませんでした。

これは、良いものがある。そのうちマスターしよう。気持ちは定かに持ちましたが、行動が伴いません。こう考えているうちにどんどん時間が経ちました。

エクセルについても、同様です。

当時、ワードで文章は一応作れたのですが、ある処理をするのに、どうしても表を作る必要に迫られました。
元来、表を作るのは好きな方です。それは、若いころ、先輩上司から、「改正前」と「改正後」の比較表を作れ、とか、A案とB案のメリット、デメリットを評価基準毎に表にしろ、とか指導をされて来たことに原因があるかもしれません。そのこと自体、大変わかりやすい表現方法で異論もありません。いつしか、私も、部下の方にお願いしています。
「それ、ちょっとわかりやすく、比較表にしてみてくれませんか。」

いわば、表作るのは、ビジネススキルのDNAとなっているかもしれません。私の場合は。
しかし、これ、昔は大変だったんです。手書きで。線が曲がったり。内容直すとその量に応じて、欄の幅、高さが変わります。よくまあ、定規片手に消しゴム真っ黒にしながら作っていたものです。今から考えると。

いずれにしても、この意味で、エクセルに対して、一種の憧れがありました。それに、エクセルの表からは、グラフが直ぐに作れます。ソートをかけて、順番の入れ替えも直ぐにできます。かつてのアナログ時代のビジネススキルを知っている人間にとっては、夢のようなソフトです。

チャレンジします。えらく疲れます。ワードとまったく勝手が違います。ENTERキーを押すと改行しないで、次のセルに飛んでしまいます。うまくレイアウトしないと、印刷しても、表の中に文書や数字が埋もれてしまいます。うーん。むずかしい。「セルの書式設定」さえきちんとすれば、なんら問題ないのですが、その頃、そんなことは知りません。その表を作る差し迫った用事が終わった後は、しばらく、エクセルを再び、起動させることはありませんでした。

こうして、時間はどんどん経っていきます。いつまでもワードしか動かしません。そのうち、以前にも紹介したように、ハードの知識、技能はかなり、習得してきます。パソコンについて持っているハードとソフトの知識のアンバランスを強く感じるようになります。要は、パソコン作れても、直せても、活用できていないじゃないですか。このままでは、パソコンが得意なんて言えません。単なる、素人技術者です。このままですと、デジタル社会のカースト制度の底辺で終わってしまいそうです。言わばスレーブです。

そんな頃です。パソコン雑誌の記事で、マイクロソフトの資格でMASTER制度があるというのを見たのは。心地よい響きではありませんか。「マスター」です。「スレーブ」の対極です。しかし、WORD,EXCEL,POWERPOINT,OUTLOOK,ACCESSのすべての種類、計7科目に合格する必要があります。ACCESSなど、起動させたこともありません。しかし、躊躇していると、いつまでもスレーブです。
思い切って試しに、受験問題集買ってきて、勉強し、ワードの「一般」を受験します。なんとか合格します。これが、きっかけとなって、問題集買い込み、次々にチャレンジするようになりました。ワード「上級」、エクセル「一般」「上級」、パワーポイント・・・。やるからには、集中して取ってしまえ、ということで、すべて、2、3ヶ月あまりで取得したような気がします。

こう書くと大したことのようです。しかし、MSのソフトに習熟されている方は誰しも感じるはずですが、ワードとエクセルをマスターしたら、後は楽なのです。上のメニューバー、ツールバーなどの機能もほぼ似たもので、正確な知識がなくても、大体察しがつきます。このHPもIBMのHPビルダーで作っていますが、きちんとした解説書読まなくても、なんとか操作できました。これは、MSのソフト群が、事実上デフォルトソフトの役割を果たしているので、その知識があると、他のメーカーものでも、なんとか動かすことができてしまうからなのです。

こうして、MSのソフトの制覇が終了しました。「取得資格」のところにも偉そうに書いてあります。しかし、私の場合、常日頃、エクセルなどを使用していません。表計算の処理方法など段々忘れていきます。アクセスはほとんど忘れました。しかし、不思議なものです。一度マスターした技能は、本を読むと思い出してきます。

このMASTER取得のプロセスには、お金もかかりましたし(一科目1万円)、時間もそれなりに費やしました。しかし、今では、本当に良かったと思っております。「資格を取っておいたこと」、ではなく、「きちんと体系立って勉強しておいたこと」、がです。今や、事実上「マスター」の実力はありません。しかし、お陰で「スレーブ」を免れているのは事実です。

今後は、ペイント系やHP作成の「Go Live!」などに挑戦したいと思っています。
このHPのデザインが一新される日が来る時、それは、私がそれらのソフトに習熟した時かもしれません。

update04 /Jul/05

パソコンの話(ソフト編)