北海道ーこのユニークな存在

■北海道とヨーロッパ
北海道に、赴任してまず最初に感じたのは、ヨーロッパの気候、景観に似ているということです。特に宗谷や根室付近の風景など、イギリスに良く似ています。
一般的に、気候について、皆さん冷涼性を強調しますが、私はそれよりも降水量に着目しています。札幌で東京の半分程度、冬の積雪を割り引くと春夏秋の降雨量の少なさはヨーロッパの各都市並です。
住んでみると実感として分ります。よく見ると各戸に、ひさしや雨戸がほとんどありません。
温帯モンスーンの気候ではないのです。
私はロンドンに勤務していた時代、現地のイギリス人によく言っていたものです。
「あなた達は幸せだ。地震もないし、台風も来ない。梅雨もないし、夏暑くなく、冬寒くない。しかも、あなた達の言葉は世界を制している。どこにいっても英語の先生としてなんとかやっていけるでしょう。近くにミサイルを飛ばしてくるような国もないし。」
地震と英語の話をのぞけば、北海道も似ていると思いませんか。
イギリスと比較して、私が個人的に、多いに評価するのは、雪の多さとそれを反映した四季の明確さです。確かに冬はやや寒く(道央地域でマイナス10度位)、冬の期間が本州より1ヶ月ほど長いのですが、その分、ウインタースポーツを享受できます。また、紅葉、白い雪、青葉のコントラストによって四季のメリハリが、視覚的にも温度としても、かなりはっきりしています

■北海道ーアジアの中での存在感
このような気候と景観は、わたしの知る限りにおいて、東アジアにはありません。
特に、冬の降雪ですが、日本人は余り認識していませんが、日本の日本海側地域と北海道(道南、道央)は、世界的にみても、大変ユニークな地域です。こんなに雪が降り、かつ、さほど、寒くない(せいぜいマイナス10度位まで)ところは、他にないはずです。
暖流の通る日本海が国土の西側にあること、背骨のように山脈が連なっていることが、このような気候をもたらしているのでしょう。
また、オホーツクの流氷ですが、これも大変ユニークなものです。世界でこれほど低緯度で流氷が押し寄せてくるところはないのです。
これほど、北海道の冬は世界的にも珍しいのです。いわんや、夏の冷涼性と湿度が低いことを加味すれば、アジアモンスーン帯の他の国では、ありえない気候的特性をもっているのです。
観光のデステイネーションのプロモーションとしては、この「メリット」は、いくら強調してもしすぎることはないのです。私が20年前に勤務した新潟でもそうでしたが、雪国のみなさんは、雪にマイナスイメージしかもたないようです。私は横浜生まれ、横浜育ち、基本的に、「雪」=珍しい、うれしい。の感覚です。これが、観光客の感覚です。彼ら雪国に暮らしてなんかいないんですから。雪の恐ろしさ、大変さなんて知りません。
確かに、雪国の冬を暮らすのは大変な面があります。新潟、小樽と4冬しか過ごしていませんが、ある程度分かっているつもりです。でも、視点を変えないといけません。
観光は、相手の立場に立って考えることが必要です。台湾人、中国人等の目からみて、何が魅力的に映るんだろうか。それをどう売り込めばいいか。
雪をうまく、演出して、観光資源にすればいいのです。今、道内のいろいろな地域で、冬の観光誘致を行っていますが、もっともっと色々なことができるのではないかという感じがしています。
私は、対アジア観光誘致に関していえば、北海道はものすごいポテンシャルを持っていると思います。受け入れ体制作りやプロモーション活動をぬかりなく行っていけば、必ずや、結果がついてくるはずです。