北海道の思い出 第5話 「小樽の人口」その2

前回、小樽の観光の今後について、色々な立場からの議論があることを申し上げました。

私が当時残念であったと思うことは、その議論が、人口=定住人口 と 観光入れ込み客数や宿泊客数=交流人口という、2つの観点からのものが主であったことです。

地域で観光に期待する一番大きなものは、観光客の落とすお金という経済効果だと思います。数学的に言うと、その経済効果は、何の関数でしょうか。私は、訪問客の可処分所得額の総和と、滞在時間の総和の関数だと思います。

E=観光客のもたらす経済効果
I=訪問客の可処分所得
T=訪問客の滞在時間

   E=f (ΣI, ΣT)

この滞在時間をラフにあらわすものとして、観光客入れ込み客数の概念があると行っていいでしょう。
当然、滞在時間が同じでも、その時間帯によって、効果は違うでしょう。昼時に滞在してくれれば、外食産業に恩恵があります。夜から朝にかけて、いわゆる泊りとなれば、宿泊産業に恩恵を及ぼすでしょう。

また、一方で、訪問客が減り、滞在時間の総和が減っても、引き続き訪問してくれる客の落とすお金の額が多ければ、地域への経済効果総体としては、変わらないということになるかもしれません。

むずかしいのは、これらの訪問客の滞在時間とその可処分所得のパターンが無数にあり、そのパターン毎に恩恵を受ける地元の産業、企業が異なるということです。

小難しく言いましたが、要は、ターゲットになる客層とその小樽での滞在パターンをどのように考えるかということがポイントです。

私が小樽に居た時には、小樽には、日帰りが多いが、宿泊が少ないから宿泊客を多くしようというような主張がされていましたが、直線的にそのような結論を求める施策はうまくいくでしょうか。札幌にかなりの宿泊のキャパシテイがある状況では、なかなかいい答えは得られないのではないのでしょうか。

むしろ、小樽での総滞在時間をいかに増やすかというアプローチ、小樽の観光のソフトを見つめなおすというアプローチの方が、解を解くにはふさわしいのではないでしょうか。

検討の視点を2つほど示します。

1、小樽への日帰り客は、何時間小樽に滞在しているか。

 これが、仮に4時間、5時間であるしましょう。これを7時間、8時間にどのように増やすかということを、まず、考えることが必要ではないでしょうか。
 今の小樽への観光のパターンとしては、運河を見て、周辺を散歩、買い物して、おすしを食べて終わりと言う感じではないでしょうか。
 観光客の動線が運河と北のウオール街とメルヘン交差点を囲んだ地域位になっているのは、寂しい限りです。

 滞在中にずっと思っていたことは、小樽市指定の歴史的建造物が67あり、それぞれ魅力的なのですが、それらを結ぶようなルート紹介や、道路上の案内、訪問者の動線を誘導するようなサイン、パンフの類が殆ど見られないことです。原石が光輝いていないと言う感じです。

 例えばの話ですが、スタンプラリー等を行って、これらの建造物への訪問徒歩ツアー等が盛んになれば、それだけで、滞在時間は2時間位増えるのではないのでしょうか。滞在時間が2時間増え、その結果、今まで、小樽で一食しか食べなかった人が2食食べるようになれば、それだけでも、かなりの経済効果ではないでしょうか。

宿泊客の増加というのは、勿論、温泉がある、料理がおいしい、等の宿泊施設の魅力も大きな要因であると思いますが、基本は、時間をかけて見る体験するような魅力的な観光ソフトがその場にあるか否かということではないのでしょうか。、

2つ目の視点は、次回にします。