北海道の思い出 第6話 「小樽の人口」その3 定住と交流の間

少し、お休みしてしまいました。

第2の視点は、交流人口と定住人口の間の概念はないのか。
ということです。

数泊の観光でもなく、そこに定住するでもなく、週単位や月単位で滞在する需要はないのでしょうか。
これは、広い意味での交流人口と概念されるべきでしょうが、単なる観光の域を完全に超えているものです。

これは、小樽を通過点として、楽しむのではなく、そこで生活をするということを楽しむという需要です。

数は定かではありませんが、小樽に夏の間だけ在住して、冬は本州で生活する方方がいるということをよく聞きました。

北海道の夏の快適さは、素晴らしいものです。私は、暑さ嫌いなので、余計にそう感じるのかもしれませんが、小樽で過ごした、2夏は忘れられません。

事務所にも自宅にもクーラーはありませんでしたが、快適でした。自宅では、扇風機すら使いませんでした。夜になると、すっと涼しくなります。半そででは少々寒く感じるくらいです。熱帯夜など縁遠い世界です。

小樽での生活の利点は、気候に限らず、様々なものがあります。詳しくは、別の機会に譲りますが、気候、食、物価の安さ、景観、人情、温泉、ニセコ、札幌へのアクセス等等、その利点をアピールして、季節限定でも結構、「小樽生活体験のすすめ」を宣伝したらいかがでしょうか。

道東の方では、花粉症の方をターゲットにした滞在ツアーを仕組んだ町があったと記憶しています。

また、近年、団塊の世代をターゲットにした北海道への「移住」PRを道庁はじめ、様々な市町村で実施しているようです。

成功することを祈りつつも、私はこの「移住」のすすめには、やや疑問を持っています。

北海道滞在中、北海道の湘南として有名な伊達を訪れ、お話を聞く機会がありました。北海道の中で、比較的気候が温暖だといわれている伊達への近年の移住者は、その殆どが道内の方であるとのことでした。

私自身、北海道勤務と聞いて、寒いだろうなと思いました。元々横浜生まれ、育ちですが、これまでの勤務経験が、東京以外は新潟、仙台、ロンドンと冷涼なところでしたので、あまり気に留めませんでしたが、やはり、本州とは違う寒さです。

この寒さは老年世代の「移住」には、大きな障害となりえる要因です。また、雪も大きな要因です。私自身、新潟で豪雪の年を体験していたので、あまり大きな驚きはありませんでしたが、それでも大変な量です。

実は、本州の人は北海道にこんなに雪が降るとは思っていません。そのような報道がなされないからです。端的な報道は、札幌雪祭りですが、その時期になると、札幌の中心部の道路はきれいに除雪、排雪してしまって、本当の姿をカメラの前に晒していません。小樽でも同じです。その頃の北海道はどこでも雪だ氷だと色々なお祭り、イベントがありますが、にわかに、よそ行きの姿になってしまうのです。

人間誰しも、初めての経験には大なり小なりストレスがあります。
スキー、スケートを趣味とする私でも、最初の冬はかなり身構えて過ごしたものです。

慣れてしまえば、また、雪国の生活のよさをそれなりに楽しめれば、こんなに良いところはないと私は思うのですが、この感覚を、北海道に居住経験のない本州の人が同じく共有できるでしょうか。

まず、現実的なステップとして、とにかく、生活してもらうということから始まるのではないでしょうか。
しかし、行政でも、旅行業界でもこのような観点からの取り組みはほとんど行われていないのが実態でしょう。

ビジネスとして成立するかという問題もあるかもしれません。

しかし、これからは、時間とお金にある程度の余裕のある、団塊の世代が、定年後の新しいライフスタイルを求めて様々な活動や試行錯誤を試みるような時代になると思っています。

そのような時代に、「小樽生活体験お試しのすすめ」を宣伝することは、いかがでしょうか。

小樽は、このようなお試しをするに十分な素質がある町であることは、確信しています。